「イギリス英語って、なんだかおしゃれでかっこいい!」
そう思っている方は多いのではないでしょうか?
でも、いざイギリス人の友人と話したり、イギリスのドラマを観たりすると、「あれ?この単語、知らないな」「この表現、どういう意味?」と戸惑ってしまうことはありませんか?
実は、イギリス英語には、教科書には載っていない独特のスラングや表現がたくさんあります。
この記事では、そんなイギリス英語の面白いスラングや、アメリカ英語と違う表現を厳選してご紹介します。この記事を読めば、あなたもイギリス英語をより深く理解し、ネイティブとの会話がもっと楽しくなるはずです。

そもそもなぜ違う?イギリス英語とアメリカ英語

大昔は同じ英語だった
イギリス英語とアメリカ英語は、もともとひとつの言語でした。その共通のルーツは、紀元後5世紀頃にゲルマン民族がブリテン島へ移住したことにさかのぼります。
彼らが使っていた言語が「古英語(Old English)」となり、時代を経てシェイクスピアが活躍した頃には「近代英語(Early Modern English)」へと進化しました。
この時代の英語が、現在のイギリス英語とアメリカ英語の共通の祖先にあたります。

植民地化と独立戦争がもたらした独自の変化
17世紀初頭、多くのイギリス人が北米大陸へ渡り、植民地を築き始めました。彼らが持ち込んだ英語が、現在のアメリカ英語の基礎となります。
この段階では、イギリス本国と北米植民地で話される英語に大きな違いはありませんでした。
しかし、18世紀にアメリカ独立戦争が勃発し、植民地がイギリスから独立すると、両者の言語は異なる道を歩み始めます。
イギリス本国での変化 イギリスでは、産業革命や社交界の発展に伴い、容認発音(RP: Received Pronunciation)と呼ばれる上流階級の洗練された発音が標準と見なされるようになりました。これは、特定の母音を発音しなくなったり、Rの音を省略したりするなどの変化を伴いました。
アメリカでの変化 一方、独立したアメリカでは、イギリス本国からの影響が薄れ、独自の発展を遂げました。
- ノア・ウェブスターの辞書: 言語学者ノア・ウェブスターは、アメリカの文化と独立性を象徴するために、イギリス英語の綴りや語彙を意図的に変更した辞書を出版しました。これにより、「colour」が「color」に、「centre」が「center」になるなど、現在の両者のスペルの違いが定着しました。
- 多様な移民の影響: アメリカにはその後も多くの国から移民が流入し、彼らの言語が英語に影響を与え、語彙や発音の多様性をさらに広げました。
このようにして、もともと同じだった英語が、政治的、文化的、社会的な要因を経て、イギリス英語とアメリカ英語という二つの主要な変種へと分かれていったのです。
アメリカ英語とイギリス英語の発音の違い

1. Rの発音(非R的発音 vs R的発音)
イギリス英語(RP):音を言わない「r」
- 例えば、
car
(車)という単語。「カー」の**「アー」の音を長くのばすだけ**で、最後に「ル」の音をつけません。 park
(公園)なら「パーrク」ではなく、「パーク」となります。mother
(お母さん)も、「マザーr」ではなく、「マザー」という音になります。
アメリカ英語(GA):音を言う「r」
car
(車)は、「カー」の後に、舌を巻いた「ル」の音をつけ、「カーr」のように聞こえます。park
(公園)も、「パーrク」というように、しっかりと「r」の音を出します。mother
(お母さん)も、「マザーr」という音になります。

意外とイギリス英語の発音のほうが日本人になじみやすいかもしれませんね。

2. 母音の発音
- 「a」の発音
- イギリス英語(RP):
fast
、bath
、dance
などの「a」は、口を大きく開けて「ア」と発音します(/ɑː/)。- 例:
fast
/fɑːst/
- 例:
- アメリカ英語(GA):同じ単語の「a」を「ア」と「エ」の中間のような音(/æ/)で発音します。
- 例:
fast
/fæst/
- 例:
- イギリス英語(RP):
- 「o」の発音
- イギリス英語(RP):
hot
、stop
、box
などの「o」は、口を丸くして「オ」と発音します(/ɒ/)。- 例:
hot
/hɒt/
- 例:
- アメリカ英語(GA):同じ単語の「o」は、口をあまり丸めず、「ア」に近い音(/ɑː/)で発音します。
- 例:
hot
/hɑːt/
- 例:
- イギリス英語(RP):
- 「u」と「ew」の発音
- イギリス英語(RP):
new
、due
、student
などの「u」や「ew」は、「イ」「ウ」を続けて発音する(/juː/)ことが多いです。- 例:
new
/njuː/
- 例:
- アメリカ英語(GA):同じ単語の「u」や「ew」は、「ウ」と発音することが多いです。
- 例:
new
/nuː/
- 例:
- イギリス英語(RP):

一年のイギリス留学から帰ってきた友達の英語の母音が変わり、とてもイギリス英語らしくなったと驚いたのを覚えています。
まずは母音を変えてみるとイギリス英語らしくなりますよ。
3. その他の違い
- 強勢の位置: 単語によっては、アクセント(強勢)の位置が異なります。
- 例:
address
- イギリス英語(RP):2音節目に強勢(ad-dress)
- アメリカ英語(GA):1音節目に
- 例:
知っておきたい!イギリス英語の基本スラング5選

ここから具体的なスラングを紹介します。日常会話でよく使われる、比較的シンプルなスラングを5つピックアップして解説します。
イギリス英語スラング例
- Mate (メイト): 「仲間、友達」
- 解説:「Hey mate!」のように、男女問わず気軽に使える便利な言葉。
- Brilliant (ブリリアント): 「素晴らしい、最高」
- 解説:「That’s brilliant!」のように、ポジティブな感情を表現する際によく使われます。
- Chuffed (チャフト): 「とても嬉しい、満足」
- 解説:「I’m really chuffed with my new car!」のように、少しインフォーマルな場面で使われます。
- Gutted (ガテッド): 「がっかりした、打ちのめされた」
- 解説:「I was gutted when I failed the exam.」のように、残念な気持ちを強調します。
- Cheeky (チーキー): 「生意気な、いたずらっぽい」
- 解説:「That was a cheeky joke!」のように、愛嬌のあるニュアンスで使われることが多いです。


イギリス英語の短縮形
イギリス英語の短縮形一例
- dontcha=don’t you
- lotta=lot of
- getcha =get you
- what’dja=what do/did you
- dunno=don’t know
- whattsis=what is his
アメリカ英語と全然違う!意外な単語・表現5選

アメリカ英語と全然違う!意外な単語・表現集
アメリカ英語とは全く異なる意味で使われたり、イギリス独自の単語が存在したりする例をさらに詳しく紹介します。
1. Apartment ➡️ Flat (アパート)
- イギリス英語: “I live in a small flat in London.”
- アメリカ英語: “I live in a small apartment in London.”
- 日本語訳: 「私はロンドンの小さなアパートに住んでいます。」
2. Fries ➡️ Chips (フライドポテト)
- イギリス英語: “Let’s grab some chips from the shop.”
- アメリカ英語: “Let’s grab some fries from the shop.”
- 日本語訳: 「お店でフライドポテトを買おう。」
- 補足:「Chips」はフライドポテトを指し、「Crisps」が日本でいうポテトチップスになります。
3. Cookie ➡️ Biscuit (クッキー)
- イギリス英語: “Would you like a biscuit with your tea?”
- アメリカ英語: “Would you like a cookie with your tea?”
- 日本語訳: 「お茶と一緒にクッキーはいかがですか?」
4. Truck ➡️ Lorry (トラック)
- イギリス英語: “A huge lorry was blocking the road.”
- アメリカ英語: “A huge truck was blocking the road.”
- 日本語訳: 「巨大なトラックが道を塞いでいました。」
5. Garbage ➡️ Rubbish (ゴミ)
- イギリス英語: “Can you take the rubbish out, please?”
- アメリカ英語: “Can you take the garbage out, please?”
- 日本語訳: 「ゴミを出してくれませんか?」
6. Pants ➡️ Trousers (ズボン)
- イギリス英語: “I need to buy a new pair of trousers.”
- アメリカ英語: “I need to buy a new pair of pants.”
- 日本語訳: 「新しいズボンを買う必要があります。」
- 補足:イギリス英語で「Pants」と言うと、下着の「パンツ」を指すので注意が必要です。
7. Movie ➡️ Film (映画)
- イギリス英語: “I’m going to see a film tonight.”
- アメリカ英語: “I’m going to see a movie tonight.”
- 日本語訳: 「今夜、映画を観に行きます。」
8. Subway ➡️ Underground / Tube (地下鉄)
- イギリス英語: “Let’s take the Tube to the city centre.”
- アメリカ英語: “Let’s take the subway to the city centre.”
- 日本語訳: 「町の中心部まで地下鉄で行きましょう。」
9. Elevator ➡️ Lift (エレベーター)
- イギリス英語: “The lift is out of order.”
- アメリカ英語: “The elevator is out of order.”
- 日本語訳: 「エレベーターは故障中です。」
10. Gas ➡️ Petrol (ガソリン)
- イギリス英語: “I need to fill up the car with petrol.”
- アメリカ英語: “I need to fill up the car with gas.”
- 日本語訳: 「車にガソリンを入れる必要があります。」
Koyukiの独り言「スニーカー」はイギリスとアメリカで言い方が違う!


アメリカ英語とイギリス英語の違いだけでなく和製英語との違いもあり大混乱してしまった例をご紹介します。
日本語で「スニーカー」と呼ぶカジュアルな運動靴は、イギリスとアメリカで異なる単語を使うのが一般的です。
- アメリカ英語: sneakers
- 日本で一般的に使われる「スニーカー」は、アメリカ英語から来ています。
- 発音は「スニーカーズ」のように、複数形(-s)で使うことがほとんどです。
- イギリス英語: trainers
- イギリスでは、スニーカーのことを「トレーナーズ」と呼びます。
- 発音は「トレイナーズ」のように複数形で使われます。
- この単語は、もともとスポーツの「トレーニング」に使う靴という意味で使われていました。
注意すべき点
- 「トレーナー」は和製英語
- 日本で言う「トレーナー」(服)は、英語では「sweatshirt」(スウェットシャツ)と言います。
- イギリスで「トレーナー」と言うと、相手は靴の話だと思い、服の話だと伝わらないので注意が必要です。
- その他の言い方
- 地域や文脈によっては、「gym shoes」や「plimsolls」(主にイギリスで、よりシンプルな布製の靴を指す)といった言い方も使われることがあります。
イギリス英語 vs アメリカ英語:同じ場面でこんなに違う!

場面 1:友達とランチの約束
UK
A: Hi mate, fancy grabbing some lunch later?
B: Yeah, sounds brilliant. What time?
US
A: Hey buddy, wanna grab some lunch later?
B: Yeah, sounds awesome. What time?
違いポイント
- mate(英) vs buddy(米)
- fancy(英・〜したい) vs wanna(米・want to)
- brilliant(英) vs awesome(米)
場面 2:車でお出かけ
UK
A: Could you pop the bags in the boot?
B: Sure, and we need to get some petrol on the way.
US
A: Could you put the bags in the trunk?
B: Sure, and we need to get some gas on the way.
違いポイント
- boot(英) vs trunk(米)
- petrol(英) vs gas(米)
場面 3:体調が悪い
UK
A: You look a bit peaky. Are you alright?
B: No, I’m knackered. Might take a day off.
US
A: You look a little under the weather. Are you okay?
B: No, I’m exhausted. Might take a day off.
違いポイント
- peaky(英・顔色が悪い) vs under the weather(米・体調が悪い)
- knackered(英・とても疲れた) vs exhausted(米)
場面 4:スーパーで
UK
A: Have you got a trolley?
B: Yeah, it’s over there by the biscuits.
US
A: Do you have a cart?
B: Yeah, it’s over there by the cookies.
違いポイント
- trolley(英) vs cart(米)
- biscuits(英) vs cookies(米)
場面 5:驚いたとき
UK
A: Did you hear? They’re getting married!
B: No way! I’m gobsmacked!
US
A: Did you hear? They’re getting married!
B: No way! I’m shocked!
違いポイント
gobsmacked(英・驚きすぎて言葉が出ない) vs shocked(米)
イギリス英語スラングを学ぶのにおすすめの映画・ドラマ

- 『007』シリーズ: 主人公ジェームズ・ボンドの、洗練されたブリティッシュ英語が学べます。
- 『ハリー・ポッター』シリーズ: 魔法の世界を描いた作品ですが、イギリスの日常的な表現も豊富に出てきます。
- 『The Crown』: イギリス王室を舞台にしたドラマで、格式高い英語から、時にスラングまで幅広く学べます。
- 『ダウントンアビー』上流階級の貴族の英語とそこで働く人たちの素朴な北ヨークシャー訛りなどの違いが楽しめます。
- 『The Office』ロンドンで広く一般の人に使われている英語を聞いたり独特のブラックユーモアが楽しめます。
- 『リトルダンサー』イギリス東北部の独特なイギリスのアクセントを聞けば、一般的に日本で認識されている英語と全然違い、イギリス英語がいかに多様がわかります。
- 『デリー・ガールズ 〜アイルランド青春物語〜』90年代北アイルランドの女子高生の物語。ポップでコミカルなので観やすいですが、時代背景も楽しめます。北アイルランド英語もユニークです。
- 『世界一キライなあなたに』感動的なラブストーリーとして、一般的なイギリス英語を学ぶのにも適した作品です。
- 『ブリジットジョーンズ』シリーズ 皆きれいなRPを話しています。主人公のレネー・ゼルウィガーはアメリカ人ですが、素晴らしいイギリス英語を話していてあまりにも完璧すぎて、かえって不自然だとか。
レネーがアメリカ英語からイギリス英語にする過程には、美人だけれど破天荒で有名なマーガレット王女のような英語になっていたと共演のヒューグラントがインタビューで言っていました。
マーガレット王女は前イギリスクイーンの妹だから相当正統派なイギリス英語のはずだけど(笑) - 『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ウェスタロス大陸を舞台にした壮大なファンタジー作品です。様々なイギリス英語が聞けるのも特徴。
コラム ゲームオブスローンズについて

『ゲーム・オブ・スローンズ』は、登場人物たちの出身地や社会的地位を反映するために、イギリス英語の多様な訛り(なまり)が意図的に使い分けられているのが大きな特徴です。
単一の「イギリス英語」ではなく、イングランド北部の訛り、南部の訛り、ウェールズやスコットランドの訛りなど、さまざまな発音が聞かれます。
- ウェスタロス南部(王都キングズ・ランディングなど): 登場する貴族や上流階級のキャラクターたちは、一般的にイギリスの容認発音(RP: Received Pronunciation)、いわゆる「標準的なイギリス英語」に近い、明瞭で洗練された発音で話します。
- ウェスタロス北部(スターク家など): 北部出身のキャラクターは、イングランド北部の訛りを取り入れた発音をすることが多いです。RPに比べると、母音の音が異なったり、音が省略されたりする場合があります。
- その他: アイルランド英語やスコットランド英語に似た発音をするキャラクターも登場し、それぞれのキャラクターの背景や個性を際立たせています。
このように、『ゲーム・オブ・スローンズ』では、キャラクターの出身地や社会的階級といった設定を、発音の微妙な違いによって巧みに表現しており、より深い世界観を作り出していると言えます。
イギリス英語 おすすめオンライン英会話


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イギリス英語の発音を教えてくれる先生もいますよ。
日本語で質問できるので、安心してレッスンに臨むことができるのでおすすめです。

イギリス英語 おすすめ動画

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British Educationのダイアンさんもきれいなイギリス英語で教え方が上手です。

Smashing English!のLauraさんはテンションが高くて面白い。動画もメリハリがあってわかりやすいです。

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Beatrix Potter The Complete Tales
イギリス英語で書かれたイングランド湖水地方のピーターラビットの世界が楽しめます。このコンプリートシリーズでは22冊の絵本が読めます。少し難しめの単語には優しい英語で説明が入っていてサクサク読めます。

なお、一冊ずつであれば、kindle unlimitedでカバーされています。
Mother Goose in Prose
マザーグースはイギリス英語らしいリズムがたくさん。
ドラマや映画で一般知識のように出てくるので読んでおくと教養にもなりおすすめ。
まとめ

イギリス英語とアメリカ英語には、さまざまな違いがあります。特に今回紹介したようなスラングや表現は、知っているとより深くコミュニケーションがとれるようになります。
まずは、今日紹介した表現の中から、気に入ったものをぜひ使ってみてくださいね。
もしイギリス英語を勉強中なら、イギリスの映画やドラマを観て、ネイティブの生きた英語に触れることから始めてみるのがおすすめです。
